2022年05月20日
No.10002804
No.10002804
パチンコ・パチスロ依存問題フォーラム実行委員会
専門家3人による依存問題啓発動画を公開
ギャンブル等依存症問題啓発週間
パチンコ・パチスロ依存問題フォーラム実行委員会はギャンブル等依存症問題啓発週間の初日にあたる5月14日、啓発動画「安心娯楽のススメ~問題を起きにくくする遊技との付き合い方~」を公開した。
動画出演者は、ぱちんこ依存問題の電話相談機関である認定NPO法人リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の西村直之代表理事(精神科医)と、諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授、RSNの中島大輔相談員。西村代表理事が司会を務めた。
約37分にわたる動画は、「問題を起きにくくする遊技との付き合い方って?」「脳科学者からみた“健全な遊び方”とは?」「電話相談員からみた“問題が起きやすい人との対応”とは?」「意見交換・エンディング」の4部で構成。YouTubeで公開され、パチンコ・パチスロ産業21世紀会のWebサイト「安心娯楽宣言」内の特設ページからアクセスできた。
冒頭では西村代表理事が、世界で採られている賭け事のリスク対策を紹介しつつ、「プレイヤー教育」について言及。これは事業者が遊びに関する情報を参加者に伝えて遊びへの理解を深めさせることや、自身の特性に気づかせるきっかけを提供すること、暮らしと遊びのバランスを理解させることなどを指す。賭け事を商業的に提供する事業者が担うべき役割の一つだ。
「これらは世界で『ポジティブ・プレイ』と呼ばれ、安全なプレイを積極的に進めようというもの。パチンコでは『健全遊技』という名前で活用している」と説明した。
篠原教授は冒頭で、WHO(世界保健機関)がギャンブリング障害と危険なギャンブリングを区別したことを紹介。「ギャンブリング障害は、いわば病的な状態でなかなか抜けられないが、一方の危ない遊び方は、自己修正や自己改善が可能。定義し直すほうがよいのだろう」と述べた。
その後は西村代表理事らと実施したプレイヤー調査を下敷きに、のめり込み問題のリスクの下げ方について解説した。この調査は5000人規模で行われ、2834人のパチンコプレイヤーを対象とした。
「パチンコにどのくらいの頻度で行くか、1回で何時間やるか、いくら使うかということは、私たちの予想を裏切ってほとんど影響しなかった。それよりもひと月分の遊び方についてチェックするほうが、リスクを大きく下げることに寄与していた」
篠原教授が挙げたチェック項目は以下の4点。①先月パチンコ・パチスロに使ったお金は失っても構わない範囲で済んだか、②ほかに優先すべき事象があるときは打たなかったか、③打つ前にどこまでお金を使っていいか決めたか、④使用金額について家族もしくは友人に対して嘘やごまかしがなかったか。こうした項目は「プレコミットメント(事前の取り決め)」と呼ばれている。
「数量的な評価では、これら4項目をチェックすることで、概ねリスクコントロールできるであろうと思われた。だからパチンコへののめり込み問題を予防するには、ポジティブ・プレイを意識して、プレコミットメントをチェックすることが重要。危険だからやめようというメッセージよりも、コントロールできればいいよというメッセージを伝えることが大事だ」とまとめた。
中島相談員はRSNでの電話相談事例を基に、問題が起きやすい人の特徴を解説した。「問題が起きやすい人は、そもそもパチンコという遊びやリスクについて、間違った考えをもっていたり、(リスクを)ものすごく軽く見ている人が多いように感じます」。
相談者の中には、雑誌やネットに躍る攻略法を妄信したり、負けた原因がホールにあると考えたりする人もいる。しかしこうした人でも、相談員との会話の中で矛盾に気づいたり、自分の行動や考え方を改善することに目を向けられるようになったりするという。
中島相談員は「私たちはパチンコで遊ぶことは悪いとは考えていません。楽しく遊ぶためのアドバイスもお受けできますので、遊び方が少し気になるとか不安になったときは相談してほしい」と締めくくった。