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2022年07月28日
No.10002977

ESG経営を始めよう!①
企業の長期的な成長を支え
経営基盤を強化するために

ESGとは、(Environment:環境)、(Social:社会)、(Governance: 企業統治)のことで、企業価値を評価する基準として近年盛んに使われるようになった。上場をめざす企業にとっても、そうでない企業にとっても長期的な成長を支える経営基盤の強化につながるため、ESG経営に取り組む企業が増えている。

ESGもSDGs同様
企業価値を高める手法


気候変動問題や人権問題などの社会的課題が世界的に顕在化する中、長期的成長をめざす上でESGの観点での配慮ができていない企業は、投資家から企業価値を損なうリスクを抱えているとみなされる。そのため、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられている。SDGsへの取り組みも同様で、持続可能な開発目標を見据え、地球的規模での環境やジェンダー平等、労働環境の改善などに関心を示さない企業は、投資するに値しないと考えられるようになってきた。

日本でESG投資が明確に意識されるようになったのは、2015年と比較的新しい。当初、倫理的側面を強く前面に押し出したSRI投資(社会的責任投資)に対し、ESG投資は倫理的側面を意識しつつも、最優先するのは経済的リターンだと考えられた。しかし、近年ではどちらも倫理的側面と経済的側面を同時に追求できるものと理解されるようになり、ほぼ同義のものとして扱われるようになっている。

SRI(ESG)投資とはCSR(企業の社会的責任)を考慮して行う投資のこと。経済的リターンと社会・環境的メリットの両方に配慮しながら、ポジティブな変化をもたらそうとする戦略的投資を指している。

しかしながら、欧米や日本以外のアジア各国に比べると、その市場規模は小さい。日本でSRI(ESG)投資が浸透しづらい理由には、「資産運用をする者は投資家の利益を最優先する責任があるが、SRIを考慮するとこの責任に反すること」「投資銘柄を選定する際に必要な開示情報が標準化されていないこと」などが挙げられる。

時代の先取りをしていた
ソニーの環境保全活動


ESGに配慮した取り組みを通して経営基盤を強化することをESG経営と言う。ソニー(現ソニーグループ)は、1994年に「環境保全活動報告書」を発行した。報告書には、ソニーの全世界での環境に関する取り組みを、図表や写真を交えながら記している。まだ、ESGという言葉がなかった時代だが、環境投資の費用対効果などの情報開示を積極的に進めていった。こうしたパイオニア的な取り組みが海外の金融機関や投資家にも高く評価され、海外M&Aやデジタル戦略で日本企業の先頭を走り続けた。

ソニーの報告書発刊から30年近く経った今、「気象関連財務情報開示タスクフォース」の枠組みに基づく開示が、東京証券取引所プライム市場の上場企業には半ば義務化している。ここ数年は、欧米投資家はSASB(サスティナビリティ会計基準審議会)の基準開示を求めるようになったという。

一般社員のボーナスに
ESG活動が連動する時代


先日、花王とソニーグループはESGへの取り組みを一般社員のボーナスを含めた賃金に反映する制度を導入した。主要株価指数の構成企業で役員報酬へのESGを連動させる制度は、欧州で79%、米国で70%。日本では時価総額上位100社で30%程度とみられているが、今回のように一般社員のボーナスにESGを連動させるのは、世界でも珍しいという。

ホール業界でもSDGsに取り組む企業が増えてきた。一方、香港証券取引所に上場している3つの企業以外で、ESG経営に取り組んでいる企業は少ない。しかし、企業価値を高める取り組みという点で、両者の共通点は多い。上場を視野に入れなくとも、企業として高く評価されるようになるならば、ESG経営に取り組む価値は十分にあるのではないだろうか。

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年8月号に掲載した記事を転載しました。


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