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2023年11月21日
No.10003959

組織稼働率UPに投資|つばめグループ 中原商事(福島県郡山市)
特集 企業を成長させる人材育成[事例1]

組織稼働率UPに投資|つばめグループ 中原商事(福島県郡山市)

コロナ禍には人の行動が制限されたことによる消費低迷に加え、パチンコホールなどサービス業ではマスク着用や対面距離の確保などにより、社内のコミュニケーション不足が課題になった。相互理解の重要性を再認識した中原商事は、これを機に「組織づくり」への投資を実行した。

中原商事(郡山市)は福島県で9店舗、群馬県で1店舗のパチンコホールを展開している。2022年12月29日にグランドオープンした『ビックつばめ平店』(福島県いわき市)は、全国初のスマスロ専用島を配した新店という「ハード面」が注目を集めた。だが、実は「ソフト面」でも新たな試みによって作られた店舗なのだ。

同社はこの店舗のオープンを成功させるべく、半年ほど前から〈組織稼働率〉を高めるための人と組織づくりのプロジェクトをスタートさせていた。そのために同社が活用したのが、ロジック・ブレインが開発したクラウドHRMシステム『TOiTOi』だ。

『TOiTOi』は、社員の個性をAIで分析して行動傾向を把握し、それぞれの特性にあわせて最適なマネジメントをするためのヒントを提供してくれるクラウドシステム。10万人以上の性格情報データベースとAIによるデータ解析により、対象となる人物の性格をあらゆる角度から分析し、マネジメント方針やコミュニケーション改善案まで具体的に抽出し提案してくれる。

基本となる性格は「感性タイプ」「理性タイプ」「比較タイプ」に3分類され、その上で、心理学のビッグファイブ理論に基づき、「情緒特性」「外交特性」「開放特性」「調和特性」「誠実特性」の各因子をスコア化してくれる。


岩井隆徳営業部長は、「自分の分析結果はもちろんのこと、各店長たちの分析結果も非常に納得感が高く驚いた」と言う。
そして『TOiTOi』の特徴は、チームリーダーに対して社員をどのように組み合わせれば、チームとして高いパフォーマンスを発揮できるかを〈組織稼働率〉という指標によって算出してくれる点にある。

「営業部では、シミュレーションをもとに既存店で部分的な異動を行って現場の様子を見てその有効性を確信しました。そういうわけで、『ビックつばめ平店』の立ち上げメンバー選定では、齊藤大輔店長を軸にさまざまな社員の組み合わせをシミュレーションしました。私もオープン前からオープン後しばらくの間、『ビックつばめ平店』に常駐していましたが、誰かがタスクを抱え込むことなく、店長、主任、班長が役割分担できていて非常にスムーズでした」

岩井隆徳 営業部長


一部の幹部社員の感覚に頼っていては、さまざまな制約の中で、全体のバランスを取る組み合わせを作っていく作業は不可能だ。その点、『TOiTOi』ならシミュレーションはわずか数クリックで実行でき、組織稼働率はリアルタイムで可視化されるし、納得も得られやすい。

特性分析ツールが 1on1の効果を高めた
 
「店長の過半数は〈感性タイプ〉です。その場合、補佐する立場の社員には〈理性タイプ〉や〈比較タイプ〉も必要になりますから、これまでも経験的に暗黙のうちにそういった配置をしていました。言い方を変えれば『新発見はあまりなかった』とも言えますが、会社にとって重要なことは、これが数値化、言語化されて社員間で共有されたことです。弊社ではこの分析結果を社員の誰もが閲覧できるよう公開していますが、皆、楽しんでいます。『わかる、わかる!』という反応です」(岩井部長)

柾木洋隆店長代理は、「現場レベルでの大きな成果は、これが会話のきっかけになり、社員相互の理解に大きく役立っている」ことだと言う。
「例えば、リスクを取るタイプの方とリスクを回避するタイプの方は、日頃の発言が異なります。それゆえ、時には衝突することもありますが、今では『どちらが正しいということではなく、モノの見方が異なるということであり、互いに補い合える存在だ』という考えが浸透しました。店長にとっては、1on1ミーティングがとてもスムーズになりました」

同社にとって『TOiTOi』には、店長層向けの「1on1」研修が組み込まれている点に大きな意味があったと岩井部長は言う。
「店長の自己満足より顧客満足のほうが重要ですよね。それと同様に、店長が現場に何を伝えたかよりも、現場がどう受け止めたかのほうが重要です。認識のずれが生まれないよう、コミュニケーション力が必要になりますが、そのためにはまず店長が部下のことを理解しなくてはならない。そのために『1on1』と呼ばれる定期的な個別面談が有効だろうと考えていたタイミングだったのです」

柾木洋隆 ビックつばめ会津若松店 店長代理

柾木店長代理はこの研修を受けたことで、指導のための面談と1on1の目的の違いや臨み方の違いが明確になったと言う。
「我々店長層は、研修を通じて1on1のための『聴く』スキルを学んだことで、社員が1on1を楽しみしてくれるようになりました」

その結果、1on1では話題が広範囲に広がるようになったが、押さえるべき質問は共通化されている。それがこのシステムの1on1をサポートする機能で、面談後にその項目を記録していくことにより、過去の面談内容の振り返りが容易になる。新たに赴任した店長でも部下の理解が早くなる。

このHRMシステムは社員の行動特性の分析ツールではあるが、本質的には店長を育成するツールであり、社員同士が向き合い理解を深め、組織の稼働率を高めるツールだ。

岩井部長は、「人と向き合い相互理解が深まったことで、すでに職場がより働きやすい環境になったと感じています。いずれ、人材の定着率の向上という数字にも表れてくるはず」と言う。また、採用面にもプラスになると期待している。
「弊社は来春に4~5人の新入社員を迎える予定ですが、採用活動においても、社員を理解するためのツールを使っていることを説明しています。こういうツールも使って『皆が自分らしさを発揮することでチームが高いパフォーマンスを発揮することを目指している、人を大事にしている会社』ということが伝われば嬉しいです。社員が働きやすいお店なら、お客様にとっても居心地がいいはず。会社の長期的な成長をサポートしてくれるツールを提案して下さったロジック・ブレイン様に感謝しています」(岩井部長)
文=田中 剛(Amusement Japan 編集部)



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