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ホールの床清掃業務を清掃ロボットで完全自動化|エムエムインターナショナル『JINNY』
ビルメンテナンス事業を手掛けるエムエムインターナショナル(東京都)は11月末、人に代わって床清掃を完璧にこなす清掃ロボットを販売する。従来の課題はすべてクリア。他業界からも注文が殺到することは必至で、数に限りがある年内納品分は先着順になりそうだ。
貴店は現状の清掃業務に課題を抱えているはずだ。人件費を抑えたい、所要時間を短くしたい、高品質を維持したい――。一つでも思い当たる場合は、手遅れになる前に行動してほしい。最善の解決策はすでに提示されている。
多くの企業はコロナ禍やDX促進をきっかけに、業務のロボット代替を視野に入れてきた。床清掃はその代表格の一つ。上昇する最低賃金への備えや、従業員の負担軽減、高度な業務への移行など、さまざまな理由から普及が進む。
旺盛な需要を受けて、業務用製品では豊富なラインナップが展開されている。一般的な価格帯は100万円台から400万円台まで。用途と性能で細分化されている。別途、月額システム費がかかる。
20万円前後の家庭用ロボットを、ホールで試運転させた法人も多いことだろう。しかし「思ったように動かない」「清掃能力が物足りない」と肩を落とす結果が大半。家庭用の性能は、業務用には到底及ばない。
万全に見える業務用でも、動かなくなる不具合はついて回る。原因は、自分が記憶したフロアマップのどこにいるのか、清掃ロボットが位置情報を見失うためだ。起点と自分との距離を検知するセンサーが、認識可能範囲を超えると”迷子“になりやすい。
この課題をクリアしても、業務用にはパチンコホールに向かない致命的な欠点がある。多機能・高性能の代償であるマシンサイズの大きさだ。これでは遊技椅子の下に潜り込めない。結局、人とロボットで清掃場所を分担するにとどまり、十分な代替効果を得られない。
ホール特化の圧倒的性能
多機能・高性能で、小回りが利いて、価格も手頃。その上で「ちゃんと動く」。ホールの理想をすべて叶えるために開発されたのが、エムエムインターナショナル(MMI)の業務用清掃ロボット『JINNY』(ジニー)だ。家庭用と同等サイズの『JINNY20P(パチンコホール専用機)』は、価格が30万円。サポート費用は月額5000円だ。
開発したのは産業用ロボットメーカーのイージアヘ社。アメリカの著名なEV自動車メーカーに通じる構想と技術を応用し、止まらないことを大きく謳う。パートナーシップ契約を結ぶMMIが、ホール環境下でベストパフォーマンスを発揮できるように協同した。
主な仕様は以下のとおり。1台で掃除機、掃き拭き、モップ掛けの3役をこなす。特筆すべきは、8000パスカルの吸引力。他社製品はせいぜい2500~4000だ。メインセンサーの検知距離は家庭用の2倍以上。他社製品を寄せつけない距離を誇る。
1時間当たりの清掃面積は200㎡。他社の中型製品では500㎡を軽く超えるが、台数でカバーすれば問題ない。『JINNY20』3台ならば、90万円で600㎡。200万円前後の他社製中型ロボットより、圧倒的に割安だ。仮に1台が故障しても残機で補完できるため、安定したオペレーションにつながる。100メートル四方(1万㎡)のマップを100以上記憶できるメモリ機能も優秀だ。
高騰する人件費
すべての床清掃業務を『JINNY20』で代替すると、コストメリットはどれほど生まれるのか。清掃面積(台数規模)、代替される人の時給(職位)、清掃する時間帯(深夜割り増し)などにもよるが、ロボティクス事業部の松山大輔部長は「1人で20分掛けている店舗様であれば、もうロボットを入れる方がいい」と断言する。
一例を挙げよう。時給1050円の清掃スタッフが30分間従事する場合、ひと月の人件費は2万738円になる。対する『JINNY20』の月額コストは1万4083円。1カ月当たり6655円の人件費をカットできる。
従事者の時給が例示よりも高い場合や、深夜割り増しの時間帯に従事することが常態化している場合には、これよりも大きな削減効果が現れる。今後ますます難化していく清掃スタッフの採用。最適解は正社員ではなく、ロボットを投入することだ。
こうしたコストの削減は、人からロボットへの業務代替で得られるメリットの一面にすぎない。このほかには従業員の作業負担が軽減されたり、何にも代えがたい時間を確保できたり。ロボットを導入して、何がしたいのかを見据える必要がある。
松山部長はこう話す。
「清掃業務は私どものような専門家やロボットに任せて、ホール店舗様には売上の拡大や従業員の幸せにつながるコア業務に時間を費やしていただきたい。月額のサポート費も、現場の方がロボットに関してなるべく手を煩わせないようにするため。24時間365日、万全のオンライン体制で保守サポートいたします」
一方で、ロボットの清掃品質を疑う人もいるだろう。MMIは、清掃スタッフが遊技椅子の下をハンドクリーナーで清掃した後に、『JINNY20』を稼働させる実証実験を敢行。ダストボックスには、ハンドクリーナーが集めた分よりも多量のホコリが確認された。
MMIはグループ会社であるマルハンの実店舗で、『JINNY』を用いたフィールドテストを何度も繰り返してきた。ついに訪れる床清掃の完全自動化。貴店はロボット代替で生まれる時間をどのように活用するのだろうか。