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2024年03月05日
No.10004175

床清掃業務の完全自動化へ|エムエムインターナショナル
オンラインでつながる清掃ロボット登場

床清掃業務の完全自動化へ|エムエムインターナショナル

テクノロジーの進化で、さまざまなシーンで利用され始めている清掃ロボット。業務用でも導入が進んでいるが、まだ稼働が安定しないという課題もある。そんななか、エムエムインターナショナルが販売・運用を開始した清掃ロボットは、オンラインでつながるITシステムを搭載。ホールの床清掃の完全自動化を見据えている。

「テスラ」の概念を清掃ロボに

パチンコホールの清掃業務は毎日の欠かせない作業だ。一方で、働き方改革や人件費の高騰といった外部環境の変化で、ホール経営を圧迫する要因のひとつにもなっている。そうした問題を解消するのが清掃ロボット。最近ではパチンコホールでの導入も増えてきたが、まだ試験的に使っているという店舗も多い。

そんななか、マルハンのグループ企業でパチンコホールの清掃業務やビルメンテナンスを手掛けるエムエムインターナショナル(以下、MMI)が2023年12月から、清掃ロボット「J40」のホールへの販売を開始した。

「J40」は上海株式市場に上場している中国・南京市にある産業用ロボットメーカーのYijiahe(イージアヘ)テクノロジーが開発した清掃ロボット。同社は米テスラ社のEV車で世界を驚かせた「SDV」(Software Define Vehicle)と同様の考え方や技術を応用し、OTA(無線)によるアップデート機能を清掃ロボットに搭載した。

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では、同社が清掃ロボットを事業化した背景にはどんな考えがあったのか。営業部の松山大輔次長はこう話す。

「そもそも清掃スタッフの雇用が難しくなったことがあります。さらに、人材を採用すると採用経費や教育、福利厚生などのコストも発生します。働き方改革で深夜の業務も難しくなっている。そこで清掃ロボットの導入を検討してきたのです」

同社では既存の清掃ロボットを複数台購入して清掃の現場で動かしてきた。

「最初はメーカーとディーラーの方が来て、店内のマッピングをしてロボットを稼働させるのですが、その後に自分たちだけで動かそうとすると止まってしまう。ロボットに投資をして清掃スタッフを減らそうと期待したのですが、スタッフはまったく減らなかったのです」

こうした事例は、これまで清掃ロボットを導入した少なくないホールからも聞こえてくるという。こうした経緯を経て、自らで清掃ロボットを開発する方向に舵を切った。

「ロボットの稼働率が100%になれば、予定通りの人員削減が実現すると考えました」

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そこでMMIが協業相手として選んだのが中国のイージアヘ社だった。日本での清掃ロボットでは後発だが、オンライン制御が差別化要因になると見込んだ。

スタンドアローンの清掃ロボットの満足度は通常、導入時が最大で、時間が経つにつれて低下していく。これに対して「J40」は、OTAによるソフトウエアのアップデートによって、使えば使うほど満足度が高まる。

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クラウド上で遠隔管理

現在の「J40」ができることは次の通り。カーペットとタイルのいずれにも対応し、「掃き」「バキューム」「スクラブ」「湿モップ」「乾モップ」というホールの床清掃で求められる5つの用途が使用可能。人力が必要なのは水の補給とバキューム後の汚水タンクの処理だけ。給排水の環境があればこれも自動で処理できるという。

24時間365日のサポート体制

MMIでは、「J40」を販売するだけでなく運用面でもサポートする(別途保守契約が必要)。オンラインサービスセンターを設けて24時間365日のサポート体制を構築。例えば「夜中の作業中にロボットが止まってしまった」というケースでもオンラインで問題を解決する。これによって現場でのロボット稼働時間を維持できる。

本誌が取材したのは『マルハン蒲田駅東店』(東京都大田区)。1階、2階の2フロアで総台数は1000台。この店舗では「J40」1台で2時間ほどで床清掃を終えている。店内を動き回る「J40」の動きを見ると、狭い島間や湾曲島などもくまなく清掃していた。

一方で清掃ロボットのパチンコホール特有の課題として、島と椅子の隙間の問題がある。しかしMMIではここにも対策を施している。家庭用清掃ロボットのような円形の小型ロボットに、「J40」と同様のソフトウエアを装備する開発が進行中で、今年9月には販売開始の予定だ。これによってホールのフロア清掃がすべて自動化されることになる。

「J40が通路や台間を清掃して、脚元は小型ロボットが複数台清掃している。そんな最終形を目指しています。いままでの清掃ロボットに不満を感じているホール様に対しては、計画通りの人員省力化が見込めますとお伝えしたいですね」(松山次長)

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椅子と島の間の清掃用ロボットも今秋発売予定(写真の製品はイメージです)


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※『月刊アミューズメントジャパン』2024年3月号に掲載した記事を転載しました。

文=アミューズメントジャパン編集部


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