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2026年09月18日
No.10005416

オレの人生を変えたパチンコ台/貴方野チェロス|GUIDE INSIGHT(ガイド・インサイト)

オレの人生を変えたパチンコ台/貴方野チェロス|GUIDE INSIGHT(ガイド・インサイト)

案ずるな、パチンコじゃ夢は交換できない。

ひとりでも多くの人類を幸せにしたくて、パチンコやパチスロにまつわるライター業を30年ほど続けておるのだが、いまだ誰ひとり幸せにできていない貴方野チェロスです。名字は『貴方野(あなたの)』だが、オレは誰のモノでもない。まぁ、ここまではすべて忘れて大丈夫。テストには出ない。

さて、そんな戯れ言を吐き散らしつつ、コチラのよくわからんコラムでチェロスが何をお届けすんのかってーと…!? じつはオレ、2010年より前のパチンコ台やパチスロ台について語らせたら、周囲を不安にさせちゃうほど詳しいんすよ。で、そんなオレの特性を知っていたクライアントさんから、「いろんな台について好きに書いてYO☆」とPOPに頼まれてしまったのである。

そうとキタなら毎回ひとつテーマを決め、いろんな香ばしい過去の機種たちについてオレなりに語っていこうかな…と。ちょっとした思い出なんかも交えながら、有名な名機からクソマイナー機に至るまで、幅広くしたためていきたいと思うよ。ダメと言われてもヤルんで、もうあきらめてください……。


【第1回:オレの人生を変えたパチンコ台】

いうても、たかがパチンコ台である。ツッコミ所まみれの無機質な遊技機が、ひとりの人間の生き様を大きく変えてしまうなんて、そんなことが本当にあり得るのだろうか…? ハイ、ご覧ください、このワタクシめをッ!! 比較的明るそうな未来が拓けていた少年が、道なかばにして「バチコーーン!!」とパチンコなんぞに打ちのめされ、脳をクラクラさせていたら知らんうちにヘンな線路に乗っかり、ファッと我にかえると『パチンコライター』なんて職を30年間も生業としていたのである。かえすがえす人生とは予測不可能。そしてパチンコとは、なんて恐ろしいもんなのかとつくづく思わされる。そんな、ちょっとエッチな青少年チェロスを打ちのめした、罪深き最初の1台を今回はご紹介したい……。


◇マジックカーペットⅠ(三共・1989年)◇



いわゆる、初代『マジックカーペット』である。

1990年、初夏。愛知県の片田舎にたたずむビデオショップで、いろいろウマいことして念願のエロビデオのレンタルに成功したチェロス少年は、おそろしくテンションが上がっていた。エロビデオをレンタルできたオレおとな! おとなはパチンコ屋だって平気で入っちゃう! と、謎めいた二段活用を炸裂させ、チャリの勢いだけでフラフラ〜ッとパチ屋へ入店したのである。その店は『梅島センター』という名前で、令和の今では残念ながらその面影すら残っていない。

ぶっちゃけ、初めてのパチンコ体験はこの前年だった。オマセな同級生の田内くんにムリヤリ誘われ、ちょっとビビりながらも名古屋は栄の大型店へ足を踏み入れたのである。そん時は、とある羽根モノでボロクソに負けて、金輪際パチンコなんざ打たんと固く誓ったのだが、その時の思い出話はまたいずれ……。

つまり何が言いたいのかというと、オレが初めて好き好んで自らの意思でホールへ入店した記念すべき瞬間が、まさにエロビデオを片手にブラ下げていたこの日、この時だったのだッ!!

西陽が差し込む梅島センターの店内を不安げにウロウロしながら、パチンコの知識が皆無だったオレはどの台を打てばいいやら見当もつかなかった。するとやがて、オレの視線を釘付けにする1台が…。その機種こそが、何を隠そう初代『マジックカーペット』なのであった! なんかこうパッと見、盤面や役モノのデザインに遊園地のような雰囲気があって、猛烈に楽しそうな匂いを発していたのをよく覚えている。こうして、役モノの中へ心ごとスーッと吸い込まれていくかのように、オレはその台の前へ腰を下ろしたのだった。

ここで説明しておくと、『マジックカーペット』は1989年に登場した羽根モノである。世間では『マジカペ』の愛称で親しまれ、三共(現・SANKYO)を代表するほどの超がつく名機と言っていいだろう。当時は平和の『ビッグシューター』と並んで、設置されていないホールを探す方が難しいほどの人気だった。なお、初代マジカペには2種類のスペックが存在し、比較的ギャンブル性が高めな賞球数オール13個と、遊びやすいスペックの賞球数7&13個がリリースされていた。

今にして思えば、梅島センターに設置されていた『マジックカーペット』が賞球数7&13個だったのも、大きな運命の分かれ道だったのかもしれない。数ヶ月後、他店でマジカペを打った時に知るのだが、賞球数オール13個は7&13個と比べ、あからさまに羽根の鳴きがキツかったのだ。1&2チャッカーの賞球が13個か7個かの違いだけで、これほどシビアな勝負を強いられるのかと驚いたもんだ。ゆえに万が一、初打ち時のマジカペがオール13個だった場合、オレはロクに遊ばせてもらえず超高速で2千円ほど失い、パチンコとは永遠に決別した人生を送っていた可能性もアリアリだったように思う。

でもって、何よりも運命的だったのが、超テキトーに座ったこの時の『マジカペ』が、たまたま結構な優秀台だったというね……!!

当時は100円ずつ玉を借りることができた時代で、最初の200円で何度か羽根が開き、役モノへもホイホイ飛び込んだ。そのたびに、命を吹き込まれたかのような動きを見せる銀玉に、オレはカラダがよじれるぐらい興奮した。何だかイケそうな気がする…!! エロ詩吟じゃないが、ムクムクと勇気が湧いてきた。返す刀でさらに200円を追加すると、何も知らなかったチェロス少年はついにその瞬間を迎えるのだ。

ヤシの木を模した羽根に拾われた玉が、役モノ下段ステージの中央辺りに着地。そのままフワリと奥へ転がり、わずかに弧を描くようにクネ〜〜ンと、役モノ中央に鎮座する木箱の中へ収まったのである。まるで、ガチで意思を持っているかのような玉の動きに目を見張った。

ちなみに、初代『マジックカーペット』はVゾーンが宝箱の形状をしており、その箱へ玉が収まることで大当りとなった(当時としてはメチャクチャ斬新な仕様)。また宝箱には、赤や黄色をあしらった豪華なデザインと、飾りっ気のない素朴な木箱のデザインが存在していた。正確には、そんな感じのシールが貼られていたんだが、この初打ちで脳へ刻まれた強烈な記憶のせいで、オレにとっての『マジカペのVゾーン』は断じて『木箱』なのである!




人生初のV入賞を味わったこの時、オレは「うわぁあ、入ったぁああ!!」と心の中で大絶叫。玉を羽根に拾わせようと震える手で必死にハンドル調整し、おのれの生命活動の全てを注ぎ込み続けた。この時は、最終8Rまで完走できたか、途中でパンクしたのかは忘れてしまった。しかし、800個入る小箱に7分目ぐらいまで玉が貯まったことだけは、どうしてだか今もハッキリと記憶している。

この人生初のV入賞を消化し終えたオレは、大げさに思われるかもしれないけれど、何か重大な任務を終えた軍人のような…。かつて味わったことのない充足感で満たされていた。いや、むしろ陶酔していたのかもしれない。

思えばそれまで、自分の人生には『ミッション』がなかった。いや、実際は山ほどあったんだと思うよ、やるべきことは…。勉強とか、部活とか、はたまた人を愛するだとかね。でも、オレという人間のとことん正直を突き詰めた価値観の中では、何も恐れずに勇気を出して言うなら、周囲の連中が追い求めていたそれら全てを、どこかくだらないことのように感じていたんだと思う。オレもいちおう、与えられる全てに一生懸命取り組んでいるポーズはしていた。そうしていないと、言いようがなく不安で仕方なかったから…。だけど、オレ自身が切実に心の底から欲していたもの、目指したかったものは、その先にはたぶん無いという残酷な現実にだけは、薄々感づいていたんじゃないのかな?

若い頃の人間って、結構な割合でどうかしてるんだとつくづく思うよ。たぶん若かりしオレはバカで、幼くて、自分が何を理想としてるのかすらわかっていなかったのかもしれない。だから、『玉を増やす』というバカでもわかるミッションを急に突きつけられた時、「コレだぁあああッ!!」と錯覚しちゃったのかもしれんよね。端から見ると充実してるようで、実際はあまりにも空虚な毎日を送っていたから、衝撃的に舞い降りたソイツに心を奪われてしまったのかもしれない。なんか、カルト宗教にハマった大学生みたいなこと言い始めてっけど……。

とはいえ、よ!? 『マジックカーペット』の面白さだけは絶対に錯覚なんかじゃなくて、盤面のデザインが違う3台を今もそれぞれ所有してるけど、何年経ってもずーっと打ってられるほど面白いからね。だから、あの面白さに酔わされちまったオレの脳が、ワケのわからん錯覚を生み出したのかもなぁ? そういう意味では、やはり『マジックカーペット』っていうパチンコ台は、実際に人間を狂わすレベルの超傑作羽根モノだったんだろうね。いやぁ、打ちのめされたわ。鮮やかなKO劇ってヤツだわな。

結局、この時のパチンコはなんとなく1時間ほどでヤメちゃったけど、たしか2千円ほど勝てたんだよ。念願のエロビデオを手中に収めながら、お金まで増えているという至福過ぎる状況に脳が追いつけなかった。「パチンコってすげぇな!!」と何度も思った。チャリのペダルを漕いでも漕いでも疲れなかった。そうして見上げた空は、希望を滲ませたような夕暮れ時のオレンジ色から、夜の漆黒へと移り変わろうとしていた。




(プロフィール)
1997年夏、ライターデビュー。パチ&スロ専門の主要3誌でそれぞれ長期連載を担当し、現在は『パチンコ必勝ガイド』&『パチスロ必勝ガイド』をホームグラウンドとして活動している。パチンコ台&パチスロ台の実機コレクターという一面も持ち、2026年現在の所有実機台数は推定700台オーヴァー。特技はパチンコ&パチスロクイズ。母・節子。


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