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2020年07月20日
No.10001844

ネクステリア代表取締役 森本耕司
なぜライバル店のマネばかりするの?
連載コラム① ここが変だよ、パチンコ業界

なぜライバル店のマネばかりするの?

私は長年、ホール業界でセミナーを開催したり、コンサルティングをさせていただいている。いまだに「なぜ?」と思うのが、「ライバル店のマネ」をする不思議な慣習があることだ。

ある新台の導入台数を決める時、ライバル店が10台導入するならば自店も10台導入、5台ならば5台と考えるホールは多い。利益率を決める時にも台の稼働や粗利の全国平均データを参考に「他所がこれくらいならばウチもこれくらいで」と設定しがちだ。

多くのホールにとって当たり前のことかもしれないが、よくよく考えると、おかしくないだろうか。なぜならば、「営業戦略」とは限りある資源(人・モノ・金)を投資する優先順位を決めることで、ライバル店をマネて同じ戦略をとっていては勝てるはずがない。

あなたが戦国大名だったとしよう。敵国は、2000人の戦力を半分ずつに分け、自国の北から1000人、南から1000人の軍勢で同時に攻め込んで来ようとしている。自軍の戦力も200
0人だ。この状況下で、あなたはやはり1000人ずつの軍勢で迎え撃とうとするだろうか。

私ならば、北側の敵軍1000人に対し自軍は300人だけ配備。真っ向勝負に拘らず、逃げ隠れしてもいいから長期戦に持ち込めと命じる。南側には1700人を配備、一挙に敵を蹴散らす。

その後、300人でなんとか持ちこたえていた北側の自軍に合流、1000人の敵軍に対し2倍の圧倒的戦力で完全勝利に導いていく。ホールの営業戦略もこれと同じで、ライバルに対して何で負けておいて、何で勝つのかを決めることが重要だ。それが戦略というものだと私は考えている。

新型コロナウイルスの影響で、営業再開後も稼働が低迷するパチンコ市場。多くのホールの稼働が落ち、機械代や放出の予算を削減している。しかし、それを業績下落の言い訳にしてはいけない。なぜならば、ライバル店も予算を削減しているからだ。言い換えれば、今こそライバル店に勝てるチャンスなのだ。

重要なのは、売上げが下がっても、シェアを下げないこと。予算削減をシェア低下の言い訳にしては絶対にいけない。シェア低下は経営破綻に直結する。実践すべきは、ライバル店のマネではない独自の戦略を立てること。まず、ライバル店の予算がどの程度減ったのか、そして利益率がどのように変わったのかを調査するべきだ。それを基に戦略を立案・実践し、シェア向上に結びつけていって欲しい。

コロナの影響下では、いったんパチンコから離反してしまったユーザーが、すべて戻ってくることはない。撤去期限の延長はあったが、新規則機への入替えは避けて通れない課題で、今後店舗数はさらに減少していくに違いない。しかし、シェアを大きくしながら生き残ったホールは、いずれ大きな恩恵を受け取ることができる。状況は非常に厳しいが、このことを励みに、今ぜひ頑張って欲しい。

このコラムは、ピンチの中にチャンスを見い出し、戦略を実践しシェアの向上を目指すホールの皆様への応援メッセージです。今、何をすべきかをぜひ考えていただき、一つひとつを着実に実践されることを祈っております。


もりもと・こうじ 地域1番店を作る戦略家。パチンコ業界の膨大なデータから業績を上げる8つの法則を発見。現在累計で54店舗の地域1番店を作ってきた実績を持つ。「成果と地域1番店にこだわり、本質を突く」という理念のもと行う研修が人気だ。日本最大のマーケティングポータルサイト「マーケター通信」では常にTOP10に入る人気コラムを執筆。パチンコ業界だけでなく、各方面からの呼び声も高い。過去に、2つの会社のIPO(上場公開)に深く関わった経歴を持つ。

※このコラムは月刊アミューズメントジャパン8月号(7月17日発行)に掲載されたものです。次回は9月号(8月20日発行)に掲載する予定です。


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