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2022年02月02日
No.10002642

【特集】異業種参入で新機軸/ホール参入事例③
ミナミ・エンタープライズ/ゴルフ場運営事業に参入
ヘルスケア&スポーツ事業を着実に拡大

吉原純浩代表

福島、栃木、茨城で「マックス」のブランドでホールを展開するミナミ・エンタープライズは2021年9月、ゴルフ場運営企業を取得しゴルフ事業に乗り出した。コロナ禍の各事業の業況とM&Aの経緯を聞いた。
取材・文=田中 剛(本誌)

マックス・グループは2020年に2店舗を閉鎖し、現在パチンコホールは9店舗。閉鎖した2店舗はいずれもコロナ禍前から苦戦していて、テナント出店だったということもあり、「コロナ禍の長期化や今後の旧規則機撤去を考えて、経営資源を残りの既存店に集中させるためだった」と吉原純浩社長は言う。

パチンコ以外の事業はコロナ禍においても比較的順調だった。

同社は2016年からボディメンテナンス整体サロン事業に参入。ファクトリージャパングループが展開する「整体×骨盤カラダファクトリー」のエリアフランチャイザー(地域本部)として、同社1号店をJR郡山駅と直結した商業ビル「モルティ」に福島県内初出店を果たした。
※2021年12月に「ザ・モール郡山」へ移転

同サロンの従業員は、臨床データを基に作られた研修カリキュラムによって徹底した骨格・骨盤調整施術の指導を受けている。そのため、基本的な「骨格・骨盤調整+首まわりの調整+全身もみほぐし+頭部の調整」は60分・8580円(税込)で、もみほぐし系のリラクゼーションサロンの約2.4倍の価格設定だ。

整体×骨盤カラダファクトリーは、「カラダの土台となる骨盤を中心に全身の骨格バランスを整えることでストレスとカラダの悩みを両面からケアする」と謳う

コロナ禍の2021年3月には、流山おおたかの森駅前の商業施設「おおたかの森S・C」の新館開業に合わせて同施設内に出店し、千葉県内では4店舗となった。福島県内では、業績が低迷していたいわき市内の1店舗を6月に閉鎖し県内1店舗となったため、現在は合計5店舗を展開する。

「閉店した整体サロンはコロナ禍の影響で客数が目立って減少したというわけではなく、その前から集客や採用がままならず、エリア的にもマネジメント範囲が広がり過ぎて非効率だった店舗。好調な既存店の業績向上に注力するために整理しました」

この事業は2020年の緊急事態宣言による休業の後は来店客数が増えていて、2020年の売上は休業や営業時短があったにも関わらず、閉店した店舗を除く全店で2019年を上回った。2021年も前年の水準を維持している。

「業績向上の要因は第一にマネジメント体制の見直しと従業員の頑張りですが、緊急事態宣言が長く続く状況で、健康志向の高まりと合わせて時間とお金の使い道がレジャーからボディケアやリラクゼーションに移行したものとみています。弊社に関しては、さらなる業績向上のために従業員の確保が課題です」

コロナ禍にゴルフ場買収

ゴルフ場「猫魔ホテル猪苗代ゴルフコース」(福島県耶麻郡)の買収を打診されたのは2021年4月。吉原社長は当初、ゴルフ場に対して「ゴルフ人口が減少しているし魅力的な事業とは思えない」というイメージを持っていた。

だが調べてみると、ゴルフ場の市場規模は過去数年間、思いのほか縮小していなかった。2020年4月と5月には新型コロナの影響で利用者が半減したものの、それ以降はコロナ禍で「三密にあたらない屋外型のアクティビティ」として認知され、ゴルフ練習場もゴルフ場も利用者数が増加していた。特に20代~40代の間でゴルフ人気が高まっていた。

これに加えて、2019年に周辺で2つのゴルフ場が閉鎖したこともあり、「猫魔ホテル猪苗代ゴルフコース」は2020年に前年比116%の好業績を残していた。

猫魔ホテル猪苗代ゴルフコース(福島県耶麻郡)

「視察してみると、コースはタフで戦略性も求められて面白い。しかしカートが古くナビも付いていない、カート道の路面が劣化している。クラブハウスは古くて手狭で、シャワールームのみで大浴場もないなど、設備の古さや不備を感じました。また、人員不足からレストラン運営を半セルフ化しており、お客様に不便をかけている部分もありました。マーケティングも不十分。若年層でゴルフ人気が高まっているのに、ここの顧客の80%が50代以上なのです。投資が必要になりますが、改善が必要な部分が多々あるということは、伸び代があるということだと前向きに捉えました」

吉原社長はゴルフ場を経営する知人にも相談しつつ、現地視察の翌月には売主と面会し交渉を始めた。

「業績がいい状態での買収ですが、いかに顧客を増やしていけるかが弊社にとっての勝負です。私は異業種からゴルフ場に参入したわけですから、ゴルフ場業界の固定観念を持っていません。それを強みにしたい。短期的には優先順位をつけて投資をすることで利用者の満足度アップを図るとともに集客の弱いエリアへのマーケティングを強化したい。少し長期的な視点では、敷地内にある未活用の45万坪の土地にグランピング施設やアドベンチャー・レジャー施設を造ることも検討したい。そちらに訪れてもらった若年層やファミリー層にゴルフ場でハーフ体験をしてもらったり、子ども向けのパターゴルフコースで遊んでもらったりして、このエリアのゴルフ人口を増やしていければと考えています」


整体サロン事業は、出店地は決まっていないが、この先1、2年の間に福島県内に1店舗、千葉県内に1店舗を出す計画とのこと。このいずれか一方の店舗は、整体サロンとフィットネスジム、サウナを同居させた新しい形態での出店を構想していると言う。

「ココロもカラダも整う場をつくりたいのです。もちろんすべて弊社が運営します。複合化することで施設の集客力と付加価値を高める狙いですが、従業員が活躍できる場を広げられればという意図も多少あります。会社内の都合だけを優先した事業づくりは好ましくないし上手くいかないと考えていますが、自ら手を挙げてくれる方がいれば、新しい事業にも挑戦してもらいたい。将来的には従業員の発案で新規事業を立ち上げるというのも面白いと思います」

※『月刊アミューズメントジャパン』(2022年2月号)から転載


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