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2025年10月24日
No.10005031

学生が足を運びたくなるホールとは
【毎週金曜日更新】全日本学生遊技連盟・週刊連載コラム③

学生が足を運びたくなるホールとは
全日本学生遊技連盟職員・三浦圭翔 子守唄代わりに、父が打つガラケー版『北斗の拳』で眠りにつくという英才教育を受けて育った。好きな機種は当然『スマスロ北斗の拳』。

みなさま、初めまして。新潟大学4年生の三浦けいと、と申します。現在、全日本学生遊技連盟でSNS広報を担当し、学遊連のイベント告知や情報発信を行っている。私は先のコラムを担当した岸野や金海とは異なり、地方で生活している。その特性を活かして「地方に暮らす若者の視点」から遊技業界について意見を述べていきたいと考えている。今回は、「学生が足を運びたくなるホール」について考察していく。

「学生が行きたいホール」とは何か。それは学生であれ社会人であれ変わらない。「勝てる」ホールである。しかし、もしすべてのホールが最高設定を投入して、十分に満足できる環境を整えていたとしたら、そのとき学生は何を基準にホールを選ぶのだろうか。学生には時間はあるが金銭的余裕は無い。これが社会人との大きな違いである。この点に注目すれば、学生が足を運びたくなるホールが浮かび上がってくるはずだ。

今回は自身の経験や友人の声を踏まえ、学生が行きたいホールの特徴を考察していく。ただし私は地方の学生であり、都会の学生とは考えが異なる可能性があることをご了承いただきたい。

まず「時間」である。近年の学生は「タイパ(タイム・パフォーマンス)」を強く意識する。たとえ「○○の店が強い」と噂されても遠方なら足を運ばない。利便性を優先するため、「特に強くない好立地の店」と「むちゃくちゃ強い遠方の店」であれば前者を選ぶ傾向がある。その背景には前途した通り学生に時間はあるのだが、まとまった時間は少なく、アルバイトや外出の合間などの隙間時間で遊技する実態があるからだ。

ただし、学生が通うホールは必ずしも駅や学校近くに限定されない。実際、県の中心駅から徒歩70分以上離れたホールでも、大型ゲームセンターからの無料送迎バスにより多くの学生を集めている。駅利用者やゲームセンター客を取り込み、移動負担を実質的に軽減する「外部経済」が機能しているのだ。つまり移動負担の削減こそ、学生を惹きつける重要な要素なのである。

基本的に地方学生の交通手段は、公共交通機関へ依存している

次に「お金」である。現代の学生の趣味は多様化し、娯楽費をパチンコに集中させる層は減少してきている。そのためパチンコの遊び方は「低レートで長時間、ゲームセンター感覚で楽しむ」か「激荒台で限度額内の勝負を挑む」かの二極化が進んでいる。パチンコはどのホールでもこの住み分けが機能しており、学生側に楽しむか・勝負を挑むかという選択の余地があり遊びやすい環境が整っている。

一方パチスロは、低レート台に据え置きなどが多く見られ「長時間遊べても楽しめない」環境にあり、学生の関心は薄い。その結果、通常レートを打つ層が大半である。しかし現行のスマスロは設定6でも大量投資のリスクがあり、近年は敬遠されがちになっている。パチスロにおいても「若者が安心して遊べる環境」=「ニーズに合わせた住み分け」が重要であり、低レートの環境整備やノーマルタイプ重視が不可欠であると思う。

このように1円を下回ることも。パチンコは低レート化が進んでいる

ここまで見てきたように、学生に向けたホール作りは経費を圧迫してしまう。しかし学生は社会人となり、将来の利益を支える。学生への配慮は、一般企業における初期投資と同じ性質を持つと考えられる。この投資を実らせるには、学生が社会人になった後も定着させることが必要不可欠である。その過程では学生が望んでいた環境とは逆の運営を迫られる場面も出てくるだろう。

初期投資としての学生への配慮と、定着を図る施策。この二つのバランスをいかに取るかが若年層を誘致する上で今後のホール経営の大きな焦点であると私は考えている。これは容易な命題ではなく、私は経営者でもないため、勝手な事を言っているのも理解している。それでも日々試行錯誤して奮闘している経営者の方々にとって、僕たち若年層の意見が何かの参考になればと、いち学生ユーザーの身分ではあるが切に願っている。

文=三浦圭翔(全日本学生遊技連盟)


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