2025年10月31日
No.10005038
No.10005038
BT機が描く新しいノーマルタイプの形
【毎週金曜日更新】全日本学生遊技連盟・週刊連載コラム④
最近ホールを歩いていると「BT(ボーナストリガー)」の文字をよく目にするようになった。
BT機は登場当初から話題を集めてきたが、ここにきてその形はさらに多様化しており、新しいノーマルタイプの可能性を感じさせてくれる。学生として、そしてヘビーユーザーとして遊技を重ねる中で、私はBT機がもたらした変化を「遊技体験の再定義」として非常に興味深く見ている。
現在のBT機は、大きく三つのタイプに分類できると感じている。
一つ目は『クレアの秘宝伝 〜はじまりの扉と太陽の石〜 ボーナストリガーver.』や『マタドールⅢ』のようにBTループを持たず、純粋にBB一回あたりの獲得枚数が多いタイプ。安定した初当たりと明確な出玉感を両立し、まさに“今の時代のAタイプ”と呼ぶにふさわしい。
二つ目は『LBパチスロ ヱヴァンゲリヲン ~約束の扉〜』のように、特定ボーナスにのみBTを搭載し、BTループを引き当てれば一撃で大量獲得を狙えるタイプ。運要素が強く、旧AT機のような緊張感と爽快感が共存している。
そして三つ目が『SHAKE BONUS TRIGGER』や『マジカルハロウィン ボーナストリガー』のように、BT突入後に高確率でループを重ねていくタイプである。BTが連鎖していくことで、ノーマルタイプとAT機の境界が曖昧になるほどの出玉体験を生みだしている。
これらを踏まえると、『LBパチスロ ヱヴァンゲリヲン ~約束の扉〜』や『翔べ!ハーレムエース』といった登場初期のBT機は、BTボーナスそのものが出玉の中心を担う設計が主流だったといえる。通常のBBやRBは、いわば現状維持のボーナスとして位置づけられ、プレイヤーはその先のBTを目指して粘る。BTボーナスを引き当てた瞬間に大きなリターンを得られるものの、そこに辿り着くまでの重さも特徴的だった。さらに、そのBTが薄い確率でループすることもあり、連鎖した時の高揚感は格別といえる。
一方で、最近登場した『SHAKE BONUS TRIGGER』や『マジカルハロウィン ボーナストリガー』などは、BTループを前提に設計されており、最初から当たりを伸ばす楽しさを体験できるようになっている。BTに到達するまでを耐える遊びではなく、BTに入ってからどう展開を作るかを楽しむスタイルであり、従来のノーマルタイプとは一線を画す。
確実に一定枚数を獲得できる「安心感を重視したタイプ」、「BT 三つ目のループ型タイプ」など、遊び方そのものを再提案するような機種が増えてきた。この流れこそ、BT機が単なるノーマルタイプの派生ではなく、新しいカテゴリとして確立しつつある証拠だと思う。
中でも、『SHAKE BONUS TRIGGER』はBT機の進化を象徴する存在だ。偶数設定では初当たりが軽い代わりにBTループ率は低く、奇数設定は初当たりが重いがBTループ率が高いというように、設定ごとの性能 性格が明確に異なる。この「どの設定でも楽しみ方がある」構成は、プレイヤーの層を選ばない。また、先バレ機能によってレバーを叩く瞬間に当該ゲームの熱さがわかる演出は、まさに現代的な体験を提供している。安定感と新時代の刺激が自然に共存しており、従来の「ノーマルタイプは地味」という印象を覆す仕上がりだと感じた。
さらに、BTの魅力をより広い層に伝える存在として期待しているのが、今後登場予定の『L不二子 BT』である。設定1でも合算1/141.2(※)、設定6では1/98.1(※)というとんでもなく軽い当たりで、ボーナスを体感できる。BT突入時の期待枚数は約462枚と適度な出玉感と遊びやすさを両立しており、これまでBT機の課題とされてきた「初当たりの重たさ」「当たりの引けなさ」に対する明確な回答のひとつになるだろう。特に、まだBTの仕組みに触れたことのない学生やライトユーザーでも、「当たる→BTの経験→楽しい」、というシンプルな成功体験を得やすくなる点は大きい。
※独自調べ
そもそもBTの面白さは、「ボーナス=定量の枚数獲得」から「ボーナス=出玉トリガー(引き金)」へと意味が拡張された点にある。ノーマルタイプでありながら、一撃の夢を追える。ノーマルタイプの安心感と、ATのような瞬発力。そのどちらも兼ね備えた中間領域がBT機だと私は思っている。
特に学生ような長時間の稼働よりも短時間で手応えを得たい層には、このバランスは非常に魅力的だ。引き負けを感じにくく、当たった時にしっかりと報われる。その体験が次の遊技へのモチベーションになる。従来の「コツコツ出す」ノーマルAタイプとは異なり、BTは日常の中にちょっとした非日常を作る存在として定着していく可能性がある。
もちろん、現段階ではまだ課題も感じる。機種によってはBT確率が重く、BTに入らなければ魅力を感じにくいケースも少なくない。だが、スペックの進化や設計の工夫によって、今後はより幅広い層が気軽に楽しめる形へと発展していくはずだ。実際、最近の開発トレンドを見ると、ボーナスの軽さや演出テンポを重視したBT機が増えており、「BTを引けなかった=つまらない」から「BTをより体験しやすい」方向に向かいつつある。これは業界にとっても、若年層への入口を広げる好兆候だ。
BT機はノーマルタイプの持つ安心感と現代的な刺激を融合させた新しいジャンルであり、今後の遊技文化を象徴するキーワードになると感じている。スペックの多様化が進み、どんなプレイヤーにも”ちょうどいい刺激”を提供できるようになれば、再びノーマルタイプ市場に明るい風が吹くだろう。
私自身も、業界の一員としてこの流れを内側から見つめ、プレイヤーの声を届けながら、新しい遊技文化の形を共につくっていきたい。
文=岸野楽人(全日本学生遊技連盟)
















