No.10000691
SPARKS NETWORK
女性活躍推進、成功のカギは!?
業績向上に貢献する社員の育成方法
女性活躍推進に行き詰まりを感じたり、取り組みの意義を見失っている企業がある一方で、女性の活躍推進を業績向上に結び付けて成果を上げている企業もある。この違いは何なのか。遊技業界の女性リーダー育成フォーラム「P‐WOMEN'S FORUM」を主催する中村恵美代表に話を聞いた。〔文中敬称略〕
──「女性活躍推進」に取り組むホール企業が増えていますが、思うような成果を上げられていないケースがあるようです。その原因は何なのでしょうか。
中村 うまくいかない原因は、「女性の活躍」についての定義が曖昧だからです。もしくは定義していないか。この取り組みで成果を上げるには、女性の活躍とは何かを明確に定義付けることが必要です。多くの場合、経営陣が女性社員に期待していることと女性社員ががんばろうと思っていることは異なっています。ロールモデルとなる女性社員が自社にいない場合は、特にそうでしょう。私がホール様に「これまで自社で活躍した人を思い浮かべてください。その人はどのような人ですか?」と問いかけると、「強烈なリーダーシップを発揮する項羽タイプ」「時間がかかり過ぎるスタッフのオペレーション改善よりも即効性の高い機械と宣伝!」「顧客の表情や声よりもホールコンピューター!」「長時間労働も厭わない、気合いと根性で乗り切る!」「いつも職人気質! 仕組みより個々の能力で解決」「顧客や部下の評価よりも上司の期待・評価がすべて」などの答えが返ってきます。しかし女性にも同じような活躍を期待しているのでしょうか? また男性の活躍もこのままでよいのでしょうか。改めて「自社の社員の活躍」について討議して、会社組織全体でイメージを統一し、同じベクトルに向かうことが必要です。
──女性活躍の定義とは例えば「女性役職者の割合を10%にする」といったものでしょうか。
中村 定量化して目標設定することは大切ですね。しかしこれだけでは足りません。本来は各ホール企業様が議論の末にたどり着いてほしいのですが、私は女性社員の活躍の定義の中に、「業績向上への貢献」という視点を入れるべきだと考えています。企業活動の最大の目的は業績を向上させることです。ホールの社員であれば、集客することや再来店を促すこと、客滞率を上げること、離反を防止すること、ファンをつくること。これらの取り組みに積極的に関わることが、業績に貢献すること、すなわち活躍と言えます。女性にもこういった活躍をしてもらうという視点が欠落したままで、単に管理職者の割合を高めたりくるみんマークを取得したりしても、業績向上にはなかなかつながりません。だから行き詰まってしまうのです。
──女性社員の活躍を定義付けした後は、どのように推進していくのですか。
中村 ファシリテーションプログラム『女性活躍推進プロジェクト』では、次のステップで三つの改革を行います。一つ目が意識、二つ目が働き方、三つ目が制度です。ここで注意すべきことは取り組む順番です。先ほどのご質問のように、役職者の割合や育休などの制度から整えようとされるホール企業様が多いのですが、それはよくありません。女性活躍推進プロジェクトの成否のカギを握るのは、「男性上司の意識改革」だからです。男性上司の理解や応援がない中で、女性が活躍することはできません。また、男性上司が前述したような「長時間労働も厭わない、気合いと根性で乗り切る!」などのこれまでの活躍をイメージしたままに女性部下に仕事の指示や評価をしても、活躍できる女性を育てることはできません。「活躍できる女性を育てる上司へ」。男性上司の意識改革が進むと、女性アルバイト・パートさんが「社員を目指したい」、女性社員が「役職を目指したい」と言うようになります。女性活躍推進プロジェクト成否の6割は、男性上司にかかっています。ですからまずは経営陣や店長などの男性の意識を変え、それから女性社員本人の意識を変えていきます。これまで頑張ってきても高評価を得られなかった女性たちには、ある共通点があります。それは「上司が期待すること以外のことで頑張っていた」ということです。女性社員の意識改革では、この点を正すことから始めます。