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2025年11月21日
No.10005064

版権ではなく、面白さで選ばれる時代に
【毎週金曜日更新】全日本学生遊技連盟・週刊連載コラム⑦

版権ではなく、面白さで選ばれる時代に
全日本学生遊技連盟職員・岸野楽人 一番好きな機種は『L革命機ヴァルヴレイヴ』、最近ハマっている機種は『eぱちんこ押忍!番長 漢の頂』と『L東京喰種』

パチンコ・パチスロの世界で、ヒットの条件は昔から変わっていません。最終的に生き残るのは、やっぱり「面白い台」です。出玉感、演出のテンポ、打感、結局そこが良くなければ、どんなに話題になってもすぐに飽きられてしまう。これは今も昔も変わらない、遊技の本質です。

ただ、最近はそういった機種が少なくなってきている気がします。版権力が強い機種や爆発的に流行したスペックを焼き直した機種、あるいは前作のシステムを踏襲しつつ新しい要素を詰め込もうとした結果、うまく噛み合わずに埋もれていく機種など。「この作品の台出てたんだ」、「前作のほうが良かったな」、そんな声がSNSに並ぶ光景も今では珍しくありません。

その一方で、内容で勝負している機種が確実に評価を集めていることも事実です。6.5号機の代表格である『パチスロ甲鉄城のカバネリ』やスマスロ初期を象徴する『パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ』は、原作の知名度だけではなく、パチスロとしての完成度で長期稼働を続けました。

打っていて単純に気持ちいい、出玉の波がわかりやすく演出のテンポも良い。演出とゲーム性のバランスが取れているからこそ、原作を知らない層にも届いた。版権より中身という言葉を体現するような存在です。

『パチスロ甲鉄城のカバネリ』


『パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ』
内容が面白い台は、レア演出が豊富なのも特長的

そして忘れてはいけないのが、『スマスロモンキーターンⅤ』。スマスロ唯一の稼働貢献100週(独自調査)突破という数字が、すべてを物語っています。ナンバリングされた機種でありながら、ここまで息の長い稼働を見せたのは異例です。続編というのは前作の影に苦しむものですが、本機は過去の魅力を継承しつつ、ゲーム性と出玉感で今の時代の面白さを実現。ナンバリング機でも成功できることを証明した、まさに奇跡的な一台だと思います。

『スマスロモンキーターンⅤ』


展開が噛み合った瞬間に生まれる納得感。これこそが体験価値の高さそのもの

過去の大ヒット機種がスマスロ化しても、期待通りの結果を残せなかったケースもあります。『スマスロバジリスク〜甲賀忍法帖〜絆2 天膳 BLACK EDITION』、『スロット Re:ゼロから始める異世界生活 season2』、『押忍!番長4』など。いずれもファンからの注目度は抜群でしたが、前作との比較から逃れられなかった。「出玉力は感じるけど…」、「こんな台だったっけ」そんな声がホールやSNSで聞こえてきました。どれだけ前作を踏襲していても、打っていて気持ちいいかという根本が弱ければ、人は離れてしまう。それが今のリアルです。

最近では、YouTubeやインフルエンサーから「この台はアツい!」と話題が作られることも多くなりました。でも、ホールで長期稼働するのは中身が強い台です。出玉の期待感、テンポの気持ちよさ、演出の心地よさ。そこがしっかりしていれば、版権の知名度に関係なく稼働はついてくる。

逆に言えば、有名IPでも面白くなければ打たれない時代に入ったということです。今の市場を見ていると、業界全体が少しずつ原点回帰しているように思います。結局、最後に残るのは面白さ。IPはあくまで入口であり、出口ではない。どれだけ有名な版権でも、出玉とゲーム性が噛み合わなければ意味がない。中身で勝負する台こそが、人を動かす。僕は、この流れをすごく健全だと感じています。名前ではなく、体験で語られる時代。そして今まさに、『L東京喰種』のように中身も最高でIPも最強な機種がホールを席巻しています。あの完成度とバランスの良さは、面白いから流行ることを改めて証明している。こうした本気で作り込まれた台こそが、これからの時代を生き残り、そしてホールを支えていく柱になっていくのだと思います。

結局のところ、内容の面白さというのは体験価値の高さにほかならない。人は時間とお金を割いて遊技台の前に座る。その限られた時間の中で、どれだけ夢中になれたか、心が動いたかがすべてです。もちろん勝敗はつきものですが、勝った瞬間の高揚感や負けても納得できる展開。その「過程の楽しさ」こそが、打ち手をもう一度ホールに向かわせる原動力になっていると思います。

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一つの契機から一気に展開が動く、いまの時代の面白さを象徴する瞬間

多くの人にとってパチンコ・パチスロは趣味であり、変哲のない日常の中で感情を揺さぶられる体験の選択です。だからこそ、流行っている台は例外なく体験価値が高いと感じます。出玉性能や演出だけでなく、遊んでいる最中の気持ちよさがしっかり作り込まれています。中身が面白い台が流行るというのは、すなわち「体験として価値がある」からであり、そこに遊びの本質があると僕は思います。

この体験価値というテーマについては、同連載の三浦によるコラムでも語られています。短時間で楽しめる遊技性やタイパ(タイムパフォーマンス)の向上が注目される今、体験の価値をどう再定義していくか。それは、これからの遊技にとって大きなテーマのひとつだと感じています。価値のある遊技体験の提供とIPの使い方をうまく交わらせることは、今後のヒット機におけるキーワードになってくると思います。

また学遊連の協賛企業様向けのメールマガジンでもこの「体験価値」について詳しく触れているので、そちらもあわせて読んでもらえたら嬉しいです。

文=岸野楽人(全日本学生遊技連盟)


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