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2026年10月15日
No.10005454

店員がいない時間に売上が生まれる|書店チェーンが店舗の6割で無人化

店員がいない時間に売上が生まれる|書店チェーンが店舗の6割で無人化
AI顔認証などを活用した無人営業のイメージ(画像はAI生成)

店員がいない時間にも店を開き、商品を販売する。そんな営業方法を広げている書店チェーンがある。ある店舗では、売上全体の12%超が無人営業時間中に生まれたという。書店を中心に東海地方などで店舗を展開する三洋堂書店は、全66店舗のうち40店舗に無人営業を導入した。単なる営業時間の延長ではなく、これまで従業員が働いていた時間帯の一部も無人化している。人手不足や人件費の上昇が続く中、店舗を開ける時間と人が働く時間を切り離す経営とは、どのようなものなのか。


朝と夜の4時間は店員がいない

愛知県半田市にある三洋堂書店乙川店は、朝7時から深夜24時まで営業する。従業員がいるのは9時から22時までで、朝の2時間と夜の2時間、合わせて4時間は無人営業だ。2026年9月21日から、この営業形態を導入した。店舗向けシステムを提供するHOUSEIが9月25日に公表したところによると、同様の無人営業を導入した三洋堂書店は40店舗に達し、全66店舗の約6割を占めている。

無人営業時間中の入店には、HOUSEIが提供するAI顔認証システム「WelcomID」を活用する。顔認証によって入店を管理する仕組みで、同社は監視や無人決済などの店舗運営支援サービスも提供している。三洋堂書店では店舗ごとに運用が異なり、朝と夜だけを無人化する店舗のほか、有人営業終了後を無人化する店舗、24時間営業する店舗もある。


営業時間を延ばすだけではない

三洋堂書店の取り組みが特徴的なのは、営業時間を延長するだけでなく、従来の有人営業時間そのものを見直していることだ。親会社の三洋堂ホールディングスが公表した2026年3月期の営業概況によると、同年3月末時点の無人営業導入店舗は32店舗。このうち24店舗で、有人営業時間の一部を無人営業時間に置き換えた。

従来の店舗運営では、営業時間を延ばせば、その時間帯に従業員を配置する必要があった。来店者が少ない時間帯でも、営業を続けるためには人件費がかかる。三洋堂書店は顔認証などのシステムを活用することで、従業員が常駐しない時間帯にも販売を続ける方法を選んだ。店を開ける時間を増やすだけでなく、既存の営業時間に必要な人員を見直している点に、従来の営業形態との違いがある。


無人営業で売上は増えるのか

無人営業を導入しても、利用する客がいなければ売上にはつながらない。三洋堂書店では、その利用状況を示す事例も公表されている。2024年にHOUSEIが公開した三洋堂ホールディングスの加藤和裕社長との対談によると、本新店では無人営業時間中の売上が店舗全体の12%を超えた。加藤社長は、夜間にこれほど売れるとは予想していなかったと説明している。

この12%は、2024年に公開された対談で明らかにされた一店舗の実績であり、全店舗の平均値ではない。また、無人営業によって店舗全体の売上が12%増えたことを意味するものでもない。加藤社長は無人営業が売上拡大に寄与していると説明しているものの、設備投資や維持費を含めた利益改善効果については、公表資料だけでは判断できない。


なぜ40店舗まで広げたのか

三洋堂書店が無人営業を拡大する背景には、書店事業の厳しい経営環境がある。2026年3月期の書店部門売上高は前期比5.7%減少した。親会社の三洋堂ホールディングスは、本や雑誌に加えてトレーディングカード、中古ホビー、プラモデルなどの販売を強化しており、グループ全体では前期比3.9%の増収となった。商品構成を変えながら売上を確保する一方、人件費の上昇や既存事業の市場縮小への対応も求められている。

加藤社長は2024年の対談で、無人営業に取り組む最大の理由として人手不足への対応を挙げた。従業員の欠員を補充する従来の方法だけでなく、働ける人が働ける時間に勤務できる仕組みへ変えていく必要があるとの考えを示している。こうした方針のもと、2025年3月末に14店舗だった無人営業導入店舗は、2026年3月末に32店舗、同年9月には40店舗まで増えた。無人営業は、一部店舗での試みから、複数の店舗に展開する運営方法へと広がっている。


店舗経営は「人が必要な時間」から考える

三洋堂書店の事例が示すのは、営業時間を増やすことと、人員を増やすことを必ずしも一体で考える必要はないという視点だ。従業員が対応する業務と、システムで対応できる業務を分けることで、営業時間や人員配置の選択肢は変わる。無人化によって必ず利益が増えるとは限らないが、従来の運営方法を前提とせず、どの時間帯にどのような業務が必要なのかを見直すことには意味がある。

パチンコホールは書店と異なり、法令による営業時間の制限や遊技客への対応、安全管理などの条件があるため、同様の無人営業をそのまま導入できるわけではない。参考になるのは、無人化という手段よりも、業務と人員配置を切り分けて考える方法だ。開店準備、清掃、設備点検、事務作業など、日々の業務を誰が、いつ、どのように行うのか。人員を確保することだけでなく、仕事の進め方そのものを変えられるかどうかも、店舗経営の検討課題となっている。


文=アミューズメントジャパン編集部


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